【C型肝炎ウイルス[Hepatitis C Virus;HCV(えいち・しー・ぶい)]】
用語解説
C型肝炎の原因となるウイルスで、HCVともよばれます。
肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型などがあり、このうちC型肝炎ウイルスは主に血液によって感染し、慢性肝炎、肝硬変、肝がんの大きな原因となります。
先生にこのように説明されることがあります。
- C型肝炎とはC型肝炎ウイルスの感染により起こる肝臓の病気です。
- あなたのC型慢性肝炎の治療に使うお薬は、C型肝炎ウイルスが肝臓の中で増える(“複製”といいます)時に必要な酵素の働きを妨げて、ウイルスの増加を防ぎます。
- この薬がC型肝炎ウイルスに対して十分な効果を発揮するには、指示された期間、きちんと飲み続けることが大切です。
【DAA(でぃー・えい・えい):Direct Acting Antivirals,直接作用型抗ウイルス薬】
用語解説
C型肝炎ウイルスが増える(複製)時に必要な酵素の働きを妨げて、肝細胞の中で増えるのを抑える飲み薬です。
ウイルスの酵素が活性化することに直接働くことから、「直接作用型抗ウイルス薬」とよばれます。
DAAとはDirect Acting Antiviralsの略です。
先生にこのように説明されることがあります。
- C型肝炎の抗ウイルス治療では、インターフェロン(Interferon;IFN)、リバビリンや直接作用型抗ウイルス薬でDAAとよばれる飲み薬を使います。
- DAAは直接ウイルスが増えるのを防ぐ薬で、インターフェロン注射と併用、あるいはインターフェロン注射と併用せずに、飲み薬だけで使います。
【SVR(えす・ぶい・あーる):Sustained Virological Response、ウイルス学的著効達成】
用語解説
ウイルスが体内から排除されて、血液検査の結果が陰性(-)になることです。
「著効(ちょこう)」ということもあります。
SVRはSustained Virological Response(ウイルス学的著効達成)の略です。
一般的には治療を終了して24週間たった時点で血液検査が陰性になれば、SVRと判定します。
先生にこのように説明されることがあります。
- これからC型肝炎の治療を始めます。
- この治療の効果は、治療がすべて終了してから24週間後に検査を行って、血液の中にC型肝炎ウイルスが残っているかどうかで判定します。
- この時、血液検査の結果、陰性であれば、ウイルスが体内から排除された、つまりSVRとみなします。
- SVRをめざして、がんばって治療しましょう。
【インターフェロン(Interferon;IFN)】
用語解説
免疫作用を高めてウイルスが増えるのを抑える物質です。
体内でもウイルスが侵入した時に作られます。
インターフェロンには、毎日あるいは2日に1回注射する通常型のインターフェロン製剤と週1回だけ注射するペグインターフェロン製剤があり、状況に応じて24週間から48週間、治療を行います。
先生にこのように説明されることがあります。
- C型慢性肝炎の治療には、インターフェロン注射だけの治療、インターフェロンと飲み薬を合わせて使う治療、飲み薬だけの治療があります。
- どの治療法が適しているかは、患者さんの年齢やウイルスのタイプと量、肝臓の状態や生活環境などにより異なりますので、よく相談しましょう。
【肝硬変】
用語解説
慢性肝炎を治療しないまま放置して、肝臓の細胞が壊れ続けると、それを修復するときにできる線維成分が肝臓に蓄積します。
これを線維化とよびます。
線維化がさらに進行して肝臓が固くなった状態が肝硬変です。
C型肝炎に感染してから慢性肝炎、肝硬変へと進展するには長い年月がかかるとされています。肝硬変になると肝がんの発がんリスクが高まりますので、早めの治療が必要です。
先生にこのように説明されることがあります。
- C型慢性肝炎と診断された方は、肝硬変の有無を検査します。
- 肝硬変の中でも黄疸(おうだん)や腹水などの肝不全症状がない場合(“代償性肝硬変”といいます)には、抗ウイルス治療によってウイルスを排除してSVRになれば、肝不全や肝がんの発生のリスクを低下させることが期待できます。 ただし、SVR達成後も肝がんが発生していないかを調べるために、定期的に検査を受けてください。
【再燃(さいねん)】
用語解説
肝炎の治療により、いったんは血液から肝炎ウイルスが排除されて検査結果が陰性(-)化したにもかかわらず、治療終了後にウイルスが再び増えて陽性(+)となることです。
先生にこのように説明されることがあります。
(C型慢性肝炎の治療後の定期検診の際に…)
- C型肝炎ウイルスがいったん血液中から検出されなくなって、検査結果も陰性となっていたのですが、残念ながら再燃してしまいましたね。
- 血液中のC型肝炎ウイルスが増えてきています。今後の治療方針について相談しましょう。
【ジェノタイプ】
用語解説
ウイルスの遺伝子型のことです。
C型肝炎はウイルスのタイプ(ジェノタイプ)により、適した治療法が異なるため、ジェノタイプを調べてから治療します。
日本人に多いジェノタイプは1b型(約70%)、2a型(約20%)、2b型(約10%)といわれています[1]。
[1]日本肝臓学会編.慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2013. 文光堂, 2013
先生にこのように説明されることがあります。
- ジェノタイプにより適した治療方法が変わってきますので、あなたに合った治療を考えましょう。
【耐性】
用語解説
ウイルスが薬に対して抵抗性をもち、その薬が効かない、あるいは効きにくくなる現象のことです。
薬剤耐性ともよばれます。
先生にこのように説明されることがあります。
- 最近は、C型慢性肝炎の治療の選択肢も増えてきました。
- 以前使用した薬が耐性のために効かなかった、あるいは副作用などで治療を中断した患者さんであっても、選べる治療があるかもしれません。
【ブレークスルー】
用語解説
抗ウイルス治療中に、ウイルス量がいったんは減って陰性化していったにもかかわらず、治療を続けるうちに、ウイルスが増えて陽性化することです。
体内のウイルスが薬に対して耐性を得たことが原因と考えられます。
先生にこのように説明されることがあります。
- 前回の治療では、薬が効いて一度はウイルスの量が減ったのに、途中で薬が効かなくなってしまいましたね。
- これをブレークスルーというのですが、その原因は使ったお薬に対してウイルスが耐性をもってしまったためです。
- こうなってしまうと、同じタイプのお薬は使えません。
- 違うタイプのお薬もありますので、もう1回トライしてみませんか。
【無効】
用語解説
治療したにもかかわらず一度もウイルスが陰性化しないことです。
先生にこのように説明されることがあります。
- 前回の治療では、一度もウイルスが陰性化せず無効でしたね。
- 以前に使ったお薬とは作用の仕方が違う薬を使えば、前回の治療で無効だった患者さんにも効果があるかもしれません。
- もう一度、治療を受けてみませんか。